デジタルビジネス・マネジメント分野

GIS,データアナリティクスを活用した意思決定支援研究

  • 向原 強

    教授

    Tsuyoshi Mukohara

    キーワード

    GIS,データアナリティクス,ローコード言語,オープンデータ

研究を始めるために必要な知識・能力

数学と統計に関する基本知識と,プログラミングに関する基礎的能力が必要です。必要な知識能力のレベルは,何を研究するかに依存します。これらの基礎的能力は,現時点で身に着けていることが好ましいですが,自らの力で,基礎的素養を身に着けたいという気持ちや,知的好奇心がなにより大切です。

この研究で身に付く能力

広い意味でのデータ分析能力や,問題解決能力を身に着けることができます。
具体的にはGISを活用した地理空間分析能力,統計解析ソフトを活用した多変量解析による分析能力,分析結果を読み解く洞察力などを身につけることができます。これらは,近年,注目されている「データアナリスト」に必要とされている能力です。

研究内容

これまでの研究成果をベースに向原研究室の研究テーマを説明します。


「メッシュ統計を活用した買い物弱者人口の簡易推計モデルの提案」では,買い物が困難な領域の比率を推計するための数式モデル(下図左)を構築しました。スーパーコンピュータを活用し近似計算をこころみる先行研究とくらべて,計算量が軽減され,PCで計算可能であることを実証しました。計算の精度も遜色ないことがわかりました。買い物困難者の割合をGISで見える化したものです。この研究に代表されるようにGISをツールとして活用した研究を行っています。



GISは,地理空間データの分析ツールであるのはもちろんですが,クラウド上のシステム開発プラットフォームとしても機能します。札幌市保健所が活用した「こびまる」(下図のイメージ)は,GISを開発プラットフォームとして利用した健康観察アプリです。「こびまる」によるコロナ対応は自治体DXの先進事例でもあります。「事例研究:COVIDヘルスチェッカー(「こびまる」)とEUCパラダイムの新展開」では,経営情報研究の立場から,その価値を整理しました。『経営情報システム第5版』は日本の代表的な経営情報論の研究者の先生と分担して書いた教科書です。さらには,ローコード言語を利用したシステム開発研究や,様々なオープンデータを対象としたデータ解析研究を行っているところです。

主な研究業績

・向原強(単著) [2008] 「XMLを利用した問題記述環境の一提案」,経営情報学会誌,17巻1号,pp.51-68.:
 XMLを活用して,意思決定問題を記述する手法を提案しました。
・向原強,藤本直樹(共著)[2017]「メッシュ統計を活用した買い物弱者人口の簡易推計モデルの提案」,日本情報経営学会誌,37巻3号,pp.97-109:
 スーパーコンピュータを利用して推計していた買い物人口推計手法を改善し,PCで計算可能,かつ高精度の計算モデルを提案しました。
・向原強(単著)[2021]「事例研究:COVIDヘルスチェッカー(「こびまる」)とEUCパラダイムの新展開」,日本情報経営学会誌,41巻2号,pp.86-95:
 札幌市のコロナ対応を支援した「こびまる」をもとに,エンドユーザコンピューティング(EUC)の新しい方向性を提示しました。
・向原強(分担) [2025出版予定] 「第8章 意思決定支援のソフトウェア」,上田 泰編著『経営情報システム第5版』,中央経済社.:
 経営情報システムの代表的な教科書です。意思決定を支援する代表的なソフトウェアを紹介しました。

研究室の指導方針

研究は,一朝一夕には前にすすみません。何度も壁にぶちあたり苦労します。そのときどうするとよいでしょうか?私の研究室で大事だと思うことは,「立ち止まって考えることよりも手を動かすこと」です。すぐに役立つとは限らない論文や書籍を読んでみる,新しいツールを試してみる,すぐには使わない関連データを探索・収集し,分析できる形式に整理(クレンジング)する,など様々なことにチャレンジしてもらいます。

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